2014年2月23日日曜日

「女川 佐々木写真館」 読書メモ


写真家 鈴木麻弓さんを知ったのは、グラン・ジュテ(NHK Eテレ)というテレビ番組でした。今はこの番組自体は放送が終了してしまったのですが、そのなかで紹介されていた写真家という職業に漠然と興味をもっていたため、録画し何度も観返していました。

スイッチが入ったのは、「鈴木さんは女川の写真集をだしているんだ」という気付きからでした。(何度も番組を観返していたので気付きそうなものですが、なにしろ漠然と見ていただけなのでこれまで気付かなかったのです)


一言でいえば、希望を感じる写真集です。youtubeで生々しい津波の映像とともに、改めて鈴木さんのドキュメントを観返すと、この写真集のもつ力がひしひしと感じられます。でもyoutubeで流されているような重苦しさではなくて、明るい力です。この本のなかには、震災後の女川の写真とともに、いま一生懸命に生きている方達の笑顔の写真が紹介されています。この笑顔にこちらが元気づけられるようです。

そういった意味でも、写真のもつ力が改めて認識できる写真集です。写真って、あまり知らないときは「一瞬を切り取って、記録するための道具」というだけの認識でしかなかったのですが、その深さを知っていくと、これまで持っていた認識以上の魅力があるのだなと感じます。


鈴木さんは、ご両親を東日本大震災で亡くされて、それまで距離を置いていた写真という仕事に、また戻られたそうです。

本当は肖像写真家として日本で有数の腕前をもっていた父が、なぜ地元の女川から出ずに、写真館を営んでいたのか。その父から鈴木さんが受け継いだものとは何か。


「写真の力」そして「地元への愛」を感じさせてくれる写真集です。

0 件のコメント:

コメントを投稿